2013年11月26日火曜日

多飲多尿の病態と鑑別診断(第34回動物臨床医学会年次大会)


11月15日から17日まで、グランキューブ大阪にて開催されました動物臨床医学会年次大会(通称、動臨研)に参加しましたので、ご報告いたします。
私が参加した大きいセミナーは以下の4つです。

①多飲多尿の病態と鑑別診断
②犬猫のエマージェンシー
③脳疾患だけじゃない痙攣発作
④僧帽弁閉鎖不全症を有する犬に対してどう麻酔を行うか

それぞれについて、飼い主さんにも知っておいて欲しいなと思う内容をお伝えしていきます。今回は①のセミナーについてお話しします。
多飲多尿は、小動物臨床においてしばしば遭遇する臨床症状です。
何だか飲み水がすぐ無くなる、水をがぶ飲みしている、おしっこでシーツやトイレがびしょびしょになっている、または所かまわずおしっこしてしまう。
そんなお話で来られます。
正常な犬、猫の1日の飲水量は20〜70ml/kg、尿量は20〜45ml/kgです。
だいぶ個体差はありますが、診断基準は1日の飲水量が100ml/kgを、尿量は50ml/kgを超えたときを多飲多尿といいます。

多飲多尿は気づきやすい症状ですが、その症状の原因となる疾患は多岐に渡ります。
中枢性尿崩症、糖尿病、副腎皮質機能亢進症または低下症、腎不全、腎盂腎炎、子宮蓄膿症などが代表的で、心因性つまりストレスによる多飲症なんていうものもあるのです。
そのため、ワンちゃんネコちゃんの多飲多尿に気づいたとき、それ以外に何かいつもと変わったことはないかな?と考えてみてください。
食欲、体重、運動量、皮膚被毛の状態、環境などなどです。

また、実は多飲多尿の症状を示しているようで実際はそうでないこともあるのです。
なので可能であれば実際の飲水量を計っておいたり、尿検査のために、脱脂綿などに含ませた尿をお持ちいただくことは大変診断の手助けになるのです。
もちろん上記の病気を鑑別するには、病院で行うそれ以外の検査も必要となりますが、まずは身近に接しておられる飼い主さんの観察が正しい診断に繋がりますので、よろしくお願いします。

以上、吉原でした。